
朝の光がやわらかく差し込むデスクの上。
そこに転がるのは、黒とシルバーのパソコンマウスと、それにぴったり寄り添う小さな子猫。
体のサイズはマウスとほぼ同じ。
前足も後ろ足も器用に巻きつけ、すっぽりと包み込んでいる。
鼻先はマウスの曲線に沿うようにぴたりとくっつき、閉じた瞼の奥では、きっと何か楽しい夢を見ているのだろう。
この子は、家に来たばかりのやんちゃな探検家。
昨日はキーボードの上を駆け回り、ケーブルをおもちゃにして叱られたばかり。
それでも今日は、なぜかこのマウスに夢中だ。
温もりを感じるのか、形がしっくりくるのか、それとも「これが人間の大事な道具だ」と察して守っているのか。
静かな部屋に、子猫の小さな寝息だけが響く。
仕事を始めたい気持ちと、この光景を壊したくない気持ちがせめぎ合う。
結局、マウスはしばらく子猫のものになった。
これはぼくの宝物ニャ。しばらく返さないニャ。

しばらくして、三毛子猫が、そっと足音を忍ばせて机の上へ。
目の前には、黒いマウスを抱きしめてぐっすり眠るキジトラの小さな背中。
キジトラは夢の中で、あたたかな光と静かな時間に包まれている。
ほんのひげ先ほどの距離まで近づくと、温かな寝息と、かすかに動く耳先が視界に入る。
「何してるの?」
とでも言いたげに三毛子猫は首をかしげ、何を夢見ているのか探るようにじっと見つめた。
触れたくなる衝動をこらえ、ただその穏やかな時間に身を委ねる。
柔らかな光が二匹を包み、机の上は静かなぬくもりで満ちていた。
二匹の間に流れるのは、言葉のいらない穏やかな午後の空気。
やがて三毛は静かに腰を下ろし、同じ景色を眺めながら、そっと寄り添うようにその場に留まった。
三毛は一歩近づこうか迷いながら、その不思議な寝姿に小さく笑みを浮かべた。
何してるの…?それ、枕じゃないよね?

三毛子猫は、眠るキジトラのそばに腰を下ろし、しばらくじっと観察していた。
「やっぱり…マウスって枕になるんだ…?」
と小さくつぶやく。
キジトラは夢の中で、ほんのり口元をゆるめ、心の中で「見つかっちゃったか…でも動かないぞ」と思っている。
部屋には午後の柔らかな光が差し込み、二匹の影が床に寄り添うように伸びている。
三毛はやがて前足をそっと揃え、同じ景色を眺めながら、静かな時間を共有することにした。
言葉はなくても、そこには確かなぬくもりと、小さな友情の芽生えがあった。
(キジトラ)…ふわふわじゃないけど、これはこれで悪くない…Zzz
