
指先ほどの小さな命が、そっとあごを差し出してくる。
キジトラのちび子猫は、まだ世界のすべてが初体験。
人差し指がそっと触れると、ふわっと目を細めて、うっとりとした顔になる。
その表情は、信頼と甘えが混ざったような、なんとも言えない幸福のかたち。
この子は、まだ名前もない。
けれど、指先のぬくもりを覚えている。
あごの下をなでるたびに、ちいさな前足で「もっと」と催促してくる。
その仕草が、なんともいじらしくて、こちらまで笑顔になる。
「なでなでって、こんなに気持ちいいんだね」と言っているような顔。
小さな体に詰まった感情の豊かさに、思わず胸が熱くなる。
今日もこの子は、指先のぬくもりに包まれて、ちいさな幸せをひとつずつ覚えていく。
そこそこ!もっとそこ〜!ぼくのしあわせスイッチ、オンにゃ!
