籠の中でくっついていたはずの2匹。
なのに突然、左の子が口を開けて何かを訴え始めた。
前足はぴたりと相手の顎に添えられ、「ここ、ちゃんと聞いてる?」とでも言いたげな仕草。
右の子はというと、どこか遠くを見つめながら、静かに受け止めているような、あるいは完全に聞き流しているような表情。
この一瞬に詰まっているのは、兄弟げんかでもなく、甘えでもなく、たぶん「伝えたい気持ち」と「受け止める余裕」の不思議なバランス。
猫同士の会話は聞こえないけれど、空気の揺れ方がちょっと違って見える。
光の入り方も、籠の編み目も、いつもと同じはずなのに、なぜかこの場面だけは記憶に残る。
そんなふうに、何気ない日常の中にふと現れる「ちょっと特別な瞬間」。
それを見逃さずに残しておけたら、きっと毎日はもう少し面白くなる。
左の子:ねえ、昨日のカリカリ、ちょっと少なかったよね?
右の子:……それ、今言う?

