木目の美しい引き出しの前に、重力への完全な降伏を示すひとつの塊が鎮座しています。
キジ白猫が最近になって習得した、奇妙な座り方の記録です。
四足歩行の骨格構造を一時的に放棄し、背中全体を家具の垂直な面に預けるその姿勢。
ふかふかのカーペットに腰を下ろし、重心を極端に後ろへ落とした「ハイエナ座り」のフォルムを作り上げています。

前方へと無防備に投げ出された後ろ足の先には、鮮やかなピンク色と黒が混ざった肉球が上を向いて並んでいます。
そして、豊かな被毛に覆われた腹部の上には、行き場を失った両方の前足が行儀よく、ただそっと置かれていました。
全身の筋肉が弛緩し、カーペットの繊維と一体化していくような圧倒的な脱力感です。
しかし、下半身が完全に床へと溶け込んでいるのに対し、顔の向きだけは正面にしっかりと固定されています。
まん丸に見開かれた大きな瞳は、どこか遠くの空間を真剣に捉えたまま瞬きすら忘れているかのようです。
首から下は完全に脱力しながらも、視線だけは強い意志を放つアンバランスな状態。
住み慣れた部屋の一角で、自らの体の使い方を独自にアップデートしていく猫の、静かで少し奇妙な午後のひとときです。
