ザワザワ、カサカサ。
風が通り抜けるたびに、右も左も黄金色の壁が内緒話をしている。
ぼくの背丈よりもずっと高くそびえ立つ草の森へ、今日はひとりで大冒険に出発。

いつものふかふかしたお布団とは違う、ゴツゴツと硬い土の感触。
小さな肉球で一歩ずつ踏みしめると、足の裏からひんやりとした冷たさと、乾いた土の濃い匂いが伝わってくる。
両側から迫ってくる細長くて少しチクチクする葉っぱを、おひげの先で上手によけながら進む。
ここは人間たちには絶対に見つけられない、ぼく専用の秘密の抜け道だ。
歩いても歩いても、黄金色のトンネルはどこまでも続いている。
ふと立ち止まって見上げると、草のてっぺんから、不思議なものがいくつも頭を垂らしていた。
風に揺れて、シャラシャラと静かな音を立てている。

「きみは、だれ?」
後ろ足でぐっと地面を踏ん張り、右手を空に向かって思い切り伸ばしてみた。
爪を出さないように、そっと、優しく。
ピンク色の指先に触れたのは、小さな粒がぎっしりと並んだ、少しざらざらする重たい塊だった。
お鼻を近づけてクンクン嗅いでみると、お日様の光をたっぷり吸い込んだ、香ばしくてほかほかする匂いがする。
動く虫でもないし、ヒラヒラ舞う葉っぱでもない。
でも、触れると優しく揺れ返してくれる、静かで優しいお友達。
黄金色の森の奥深くで見つけた、はじめての宝物。
しっぽをピンと立てて、ぼくはまた、光の差す方へと小さな歩みを進めた。
