古びたタイヤの中に、ひとりの子猫が座っている。
野原にぽつんと置かれたその黒い輪は、かつて車を支えていた名残を残しながら、今は静かに草花に囲まれて眠っている。
子猫はその中心に腰を下ろし、風に揺れる花々をじっと見つめていた。
耳を澄ませば、虫の羽音と遠くの鳥の声。
タイヤの縁に前足を添え、背筋を伸ばしたその姿には、どこか確かな意志が宿っている。
誰に教わったわけでもないのに、ここが自分の居場所だと知っているようだった。
陽の光が柔らかく差し込み、子猫の瞳に金色の輝きが宿る。
野原の静けさと、タイヤの無骨さ。
その間に生まれた小さな命が、今日も世界を見渡している。
ここがいい。風も、匂いも、全部ぼくのものだ

