午後の気配がリビングに満ち始めると、フローリングの上に落ちた四角い陽だまりの形が少しずつ移動していきます。
その光の軌跡を正確に追うように、恰幅の良いキジトラ猫が床板の最も温かい場所へと陣取りました。

本格的な眠りに入る前の、ほんの短い時間の過ごし方。
白い靴下を履いたような両前足を前にスッと伸ばし、少しだけ顎を上に向けて陽の光を顔全体で受け止めています。
黒と茶色の縞模様が光を反射し、ふっくらとした毛並みが空気を孕んで柔らかな輪郭を作っています。
固く閉じられたまぶたの奥で、光の温かさだけをじっくりと味わい尽くす静かな儀式。
厚みのあるお腹がゆっくりと上下し、部屋の中に規則正しい呼吸のリズムが刻まれ始めました。
床と陽射しの熱を十分に堪能したのち、伸ばしていた前足は胸の下へと器用に収納されていきます。
自らの体温を逃さないための、理にかなった「香箱座り」の完成です。
床板にどっしりと体重を預け、重心を低く保ったまま微動だにしません。
遠くで鳴る家電の微かなモーター音や窓の外の風の音も遠のき、ただそこにあるのは、光の束に包まれて深い眠りの底へと沈み込んでいく確かな命の重みだけ。
陽の傾きに合わせて少しずつ影が伸びていくリビングで、絶対的な静寂が保たれています。
