午前10時。
部屋の中に差し込む光が、白いブラインドの隙間から静かに広がっていた。
誰も気づかないと思っていたその場所に、ひとつの視線が潜んでいる。
細く開いたスリットの奥から、小さな顔がそっと現れる。
耳をすませば、外の音が遠くに聞こえる。
けれど、彼の世界はもっと近くにある。
光の線が顔を横切り、影が輪郭を縁取る。
その瞳は、何かを探しているわけでも、何かを訴えているわけでもない。
ただ、そこにいる。
静かに、確かに。
誰かが通りかかると、少しだけ顔を引っ込める。
でもすぐにまた覗く。好奇心は、隠れたり現れたりする。
その繰り返しが、彼の日常。
ブラインドの向こうに広がる世界は、まだ知らないことばかり。
それでも、今日も彼はそこにいる。
光のすきまに、そっと。
ここ、ぼくの観察ポイントなんだ。誰にも教えないよ

