はじめに:AIによって「解釈」がこれほど違う
画像生成AIを使っていると、「指示通りに書いたはずなのに、なぜか伝わらない」という経験はありませんか?
今回は、「猫とバスタブ」という特定のシチュエーションで、主要なAI(Gemini, ChatGPT, Copilot, Sora)で画像を生成してみました。
その結果、GoogleのGeminiだけがプロンプトの文脈を正しく理解して意図通りの構図で描写に成功、他の3つAIはすべて失敗しました。
この記事は2026年1月14日時点の情報・AIモデルをもとに執筆しています。今後のアップデートにより、機能や生成結果が変わる可能性があります。
【閲覧にあたっての注意点】
- 画像の再現性と一貫性について: 本記事の画像は、実在しないAI生成イメージです。
- プロンプトについて: 紹介したプロンプトは、全く同一の画像の生成を保証するものではありません。ご参考までにお使いください。
検証プロンプトと結果
使用したプロンプト:
“A Siamese kitten and a fluffy black kitten are standing on their hind legs, peering anxiously but curiously over the edge of a bathtub filled with water.”
(シャム猫と黒猫の子猫が後ろ足で立ち、不安げに、しかし興味津々に水の入った浴槽の縁から中を覗き込んでいる)
成功例:Geminiの生成結果


失敗例:Copilot・ChatGPT・Soraの生成結果
「覗くはずが、気づけば湯船の主」これはいけません。



画像生成もできる、最新の動画生成AIであるSoraでさえ、初期生成の解釈で同じミスを犯したのです。


3つのAIすべてが、判で押したように「猫を浴槽の中にドボン」と入れてしまいました。
原因分析:なぜChatGPT・Copilot・Soraは全滅したのか
これには、明確な技術的理由があります。
1. 中身が同じ「DALL-E」ファミリー
CopilotはDALL-Eであり、Soraもテキスト解釈の基礎部分で同じOpenAIの技術体系を共有しています。
つまり、彼らは「双子」や「兄弟」のような関係にあり、脳のクセも共有しているのです。
2. 「論理」より「連想」が勝つ
OpenAI系のモデルは、クリエイティブな表現が得意な反面、「単語の結びつき(共起性・一緒に使われる頻度)」に強く引っ張られます。
AIの思考回路:「Cat(猫)」+「Bathtub(浴槽)」という単語の組み合わせを見た瞬間、学習データ内で圧倒的に多い「猫がお風呂に入っている画像」のパターンに引きずられます。
その結果、「standing outside(外に立っている)」や「peering over(覗き込む)」という位置関係を示す言葉が無視され、イメージ優先で描画されてしまうのです。
ちなみにGeminiは「覗き込んでいる(peering over)」という動作から、「猫は外にいるはずだ」という論理的な空間推論を行います。
ChatGPTすら
「peering over the edge」=外側 が 高確率で「入浴」解釈に引っ張られるのは、Soraあるあるです。
って回答する有様です。
3. 空間関係の解釈精度の差
今回のモデルケースにおいては、“standing on their hind legs”(後ろ足で立つ)という指示に対する解釈が分かれました。
Geminiは「立ち上がって縁に手をかけているポーズ」として処理します。
一方、OpenAI系の3つは、これを無視してでも「浴槽内」に配置しようとするため、結果として「浴槽の中にいるのに、なぜか縁にも手をかけている」という矛盾が生じ、これが「浴槽が2つに見える」「空間が歪む」という破綻に繋がりました。
これを防ぐための「対策プロンプト」
OpenAI系モデル(Copilot, ChatGPT, Sora)で成功させるには、Geminiのように「察して」はくれません。
Copilotのような「連想重視型」のAIでも成功させるためには、物理的な座標をガチガチに指定する、要するにAIの勘違いを先回りして防ぐ必要があります。
改良プロンプト例(空間を「物理的」に指定する):
“Two kittens are standing on the tiled bathroom floor outside the bathtub. They are stretching up to look into the water. Dry fur, not inside the water.”
(2匹の子猫が浴槽の外のタイル張りの床に立っている。彼らは背伸びをして中を見ている。乾いた毛、水の中ではない。)
- 立ち位置を指定:「Outside(外)」や「Floor(床)」という、立ち位置を物理的に固定する単語を入れる
- Bathtubという単語に対抗するため、猫の居場所として「床」という強い名詞を与え、強制的に座標を移動させる
- 状態の否定:「Dry fur(乾いた毛)」など、中に入っていないことを示唆する形容詞を加える
- Dry furと指定することで、「水に入っている」という視覚イメージをシステム的に否定させます



Copilotで破綻を免れたプロンプトをもう一つ。
A tiny Siamese kitten and a fluffy black kitten are standing on the tiled bathroom floor outside a large white bathtub. They are positioned next to the tub, not inside it. They are standing on their hind legs, resting their front paws on the high outside rim of the tub. Their fur is completely dry. They are stretching their necks, peering anxiously but curiously down into the water filled inside the tub. Realistic photo.
日本語訳:小さなシャム猫の子猫と、ふわふわの黒い子猫が、白い大きなバスタブの外側、タイル張りの浴室の床に立っています。彼らは浴槽の中ではなく、外側の縁のそばに位置しており、後ろ足で立ち、前足を高い浴槽の縁にかけています。毛は完全に乾いています。首を伸ばしながら、少し不安そうに、しかし好奇心を持って浴槽の中の水を覗き込んでいます。リアルな写真です。


まとめ
- Geminiは「文章のロジック」を読み解くのが得意
- 「指示の読解力」が高く、複雑な状況説明に強い
- Copilotは「絵としての完成度」は高いが、「よくある構図」「視覚的な連想」に引っ張られやすい
OpenAI系を使うときは、AIが勝手な連想をしないよう、「床」「乾いている」といった物理的な事実を具体的に指示しましょう。
AIのクセを見抜き、空間関係を「これでもか」と具体的に描写することが、生成ミスの回避につながります。
